Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

鳥飼否宇『痙攣的』  ★★☆

痙攣的
痙攣的
鳥飼 否宇
 もういやだ……イカはもう沢山だ、いい加減にしてくれないか。サークルで猛烈なプッシュがあったのでこのミス一位にしました、って言ってたから読んだんだけどとんでもなさすぎ。実際何位に食い込むのか、気になるところ。一位はねえだろ……。
 廃墟と青空:寒蝉主水は、相田彰という音楽評論家と彼の著作である『鉄拳神話の崩壊と再生』の記述について討論していた。鉄拳というのはカルト的人気を誇っていたグループ。彼らはライブの最中ステージから消えうせ、代わりにそこで死んでいたのはプロデューサーの宇部であった。
 闇の舞踏会:檐木貫が企画したアートイベント<カーニバル>を訪れた寒蝉。一風変わったアートを堪能していたのだが、パフォーマーの一人が棺桶に収まり死んでいた。床には「○×」という血文字が。
 神の鞭:栗須賀というアーティストの行う「イリュージョンアート」を取材しに、寒蝉は舟に乗って島へ。彼の作品「神の鞭」は、避雷針に雷を落とすというものであった。
 電子美学:イカ学研究所で働く老田美香は、所長・三人の被験者ともに、全感覚ランダム交換マシンである<スクイド>システムを体験することに。しかしその最中、殺人が起こる。
 人間解体:イカ学研究所で殺人事件が起きた。被害者は所長のクラウス殿下、そして犯人は……。
 最初の三話はまだ普通のミステリ。しかし電子美学でそれが崩れ、人間解体では本当に解体されちゃう。度肝を抜かれる。というか笑わせたいのかしら? 有り得ないだろ!
 この作品にはジャーマンロックがいたるところに出てきているみたいなんだけど、音楽に疎い私はさっぱり。作家は知識があってなんぼですよね。この人いつもこんな「挑戦的な試みを展開」しているんですか。

 

 イカ学研究所が出てきてびっくり。イカをこんなに研究しちゃって……しかもイカスーツとか、どういうつもりだろう(笑)最後には美香は凍ったヤリイカで所長殺しちゃうし、美香もクラウス殿下に殺されちゃうし、とんでもない本だよ。