Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

北村薫『夜の蝉』  ★★☆

夜の蝉
夜の蝉
北村 薫
「でも、あの時に、わたし達が同じ血を持った姉妹なんだって、理屈でなく分かったの」
 姉の視線は落ちて、玉砂利を見た。
「――あの時にね、あんたは何度も同じ叫び声を上げた」
「どんな?」
「あんた、わたしを呼ぶ時に何ていう?」

 ミス研の課題本だったので借りてみたら、シリーズもので少しがっかり。『空飛ぶ馬』から読まなくてはいけないんじゃないかしら。どうせなら第一作を課題にすればよかったのに! しかも結局私は用事があって行けなかったという。
 主人公はわたし。探偵役は円紫さんという落語家。日常に起きる謎をとく。
 朧夜の底:友達・正ちゃんがバイトをしている本屋で不思議なことが起こっている。本の向きが逆さになっていたり、函と中身が違っていたり。
 六月の花嫁:チェスのクイーン・卵・鏡。この三つにいたずらした犯人を私は言い当てるが、その人はひと言不可解な言葉を口にした。
 夜の蝉:姉が恋人宛に投函したチケット二枚は、何故か、恋人の浮気相手の元に届いてしまった。
 充分面白かったんだけど、ところどころ解りにくい場所があった。私の頭が弱いだけ? 『スキップ』『ターン』ではそう感じなかったんだけどさ。この人は女性が主人公の本が多いのかな。しかも女子校の話がよく出てくる。私は違和感を覚えないので、すごいと思う。学校によりけりだろうが。
 何だろう、私、北村薫の文章が好き。授業受けたいなあ。あ、主人公達が通っている大学はやっぱりあそこですよね。親しみを持った。