Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

海堂尊『螺鈿迷宮』  ★

医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の医学生・天馬は、留年を繰り返し医学の道をリタイア寸前だった。ある日、幼なじみの記者・葉子から「碧翠院桜宮病院に潜入できないか」と依頼を受ける。桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化した複合型病院で、終末期医療の先端施設として注目を集めていた。しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は看護ボランティアとして桜宮病院に通い始めるが、ある時から疑念を感じる。「この病院、あまりにも人が死にすぎる」と…。『このミス』大賞受賞『チーム・バチスタの栄光』の新鋭が贈る最新メディカル・エンターテインメント。白鳥の最強の部下“氷姫”、ついに登場。(Amazon

 これは……面白くない!笑 ちょっと文句ばっかり出てきますわ。単行本で読んだからなおさらか(文庫化に当たって一割減量してあるらしい)、にしたって面白くなかった。私はチーム・バチスタから始まる一連の田口・白鳥シリーズは好きなんですけどね、もう楽しみどころが白鳥・桜宮両名の登場シーンしかなかったよ。残念だなー。初期作だから余計に下手な部分が目立っちゃってるのかな。
 インタビュー等読むほど好きではないので今更ながら、この人の文章は小説ではなくドラマ用脚本寄りなんだけど、2ページに一度は入る行空けなんてカメラ撮影用かよ! ってくらいの頻繁さだし、文章自体の魅力ってのは(個人的には)全く感じない。でもメディカルエンターテイメント作家の看板は伊達ではなく、確か『イノセント・ゲリラの祝祭』だったかなあ、これ全然小説じゃないだろって思いつつもエンタメ力はあるのよね。ジェネラル・ルージュとかさ。
 この本も導入自体はそれほど悪くないかと思うんだけど、いかんせん主要登場人物の魅力が欠けてんだよなあ。描写、通り名に頼り過ぎだよ!
 特に女性キャラが微妙。本名にしたってすみれと小百合なんて名前は戯画化でもない限り安易に使っちゃいかんのではないか。笑 キャラ造形が下手なわけじゃあないだろうが、男性作家の描く薄っぺらい女性キャラって感じがぷんぷんしたなー。もうさ、男性キャラに徹しなよ。絶対そっちのがいいって。結城あたりは悪くはないんだがもうちょっと藤原伊織的なアレが欲しい……最近の本読んでないくせにボロクソ言うけどw
 登場人物らの心情の動きもわかりにくかったですね……特に冬馬とすみれあたり、何が起こってたのかさっぱりわからなかったです。やっぱりさあ、医学エンタメにフォーカスしまくるべきだよw 男女の機微とかやめようぜw 要素要素は面白いのにキャラに邪魔されてるよ……って小説の感想としてどうなのww でも海堂さん自身の熱い思いさえあれば面白くはなるじゃない……イノセント・ゲリラみたいになるじゃない……あれくらいやっててもいいと思うよこれ読んだ後だと。『アリアドネの弾丸』はもうちょっと面白いかなあ、シリーズ本筋だし。でもしばらく読む気しないなあ。