Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

瀬尾まいこ『天国はまだ遠く』  ★★

天国はまだ遠く
天国はまだ遠く
瀬尾 まいこ
 牧師さんの口ぶりから、愛や平和を語ろうとしているのはわかった。私の周りでは、たくさんの人がいろんな方法でラブアンドピースを伝えようとしているんだなあと少しありがたく思った。

「ここはほんまええ所や。ここにはたくさんすてきなものがあるし、生きていくために必要なものはふんだんに最高の形で目の前にある。そやけど、あんたにはそれだけではあかんやろ?」

 瀬尾まいこ全部読んだ! 祝! これで心置きなく新刊を待ち望む立場ですよ(どんなんだ)。
 仕事や人間関係に疲れた千鶴は自殺を決意。誰も知らないところへ行こう、と辿り着いたのは日本海に面した山奥の民宿。そこの主・田村さん、そして自然との出会い……。
 気の抜けた表紙の絵が素敵だ。ソフトカバーだと思ってたらしっかりハードでした。169ページで千三百円か……ううむ。そういうの考えると本ってなかなか買えない。
 年とったら田舎で暮らしたいなあ。すごく憧れる。佐野洋子『神も仏もありませぬ』を読んでも思った。それまで元気に生きて、隠居しても元気でいたい。
 幸福な食卓でぼろっぼろに泣かされたこともあり、期待しすぎて読んでしまったからだと思うんだけど、わりとあっさり終わってしまった。昨日もこんなこと書いたな。まあ、読む前から何となくこんな話だろうなってのはあったけど。その通りすぎたのかな。このあっさりさを受け止めればいいのか。少し良い気分、みたいな。最近は麻耶のせいで、薄い本ばっかり借りてしまうのだよ。
 人間が満たされていると感じるに至る事って随分大変なんですね。それだけじゃだめ、といくらでも渇望してしまうのが人間なのか。