皆川博子『双頭のバビロン』 ★★★★☆
世紀末ウィーンに生まれた貴族の血を引く双生児、ゲオルクとユリアン。だが、前者は名家の跡取りとして陸軍学校へゆき、後者は存在を抹消され、ボヘミアの廃城で世間から隔絶され育てられる。やがて、ある事件からゲオルクは故郷を追われ、野心と欲望の都市ハリウッドで映画制作の道に足を踏み入れるが……動乱の1920年代、西洋と東洋の魔都で繰り広げられる、壮麗なる運命譚。(Amazon)
いや〜面白かった。面白かったねー。もはや面白いとしか言いようがなかったよ。
でも『開かせていただき光栄です』シリーズよりはわたしの中では下かな。単純にあっちの方が自分のBL嗜好に合っていたからです。あと「皆川博子だから面白くないはずがない」「わたしの好きな読書家の人がべた褒めしていたから確実だ」とハードルを上げまくって臨んだせいもあるかも。笑
この小説の冒頭は上海から始まるんですけど、何を隠そうわたしの現居住地でありまして、ああこういう雰囲気わかる〜!! と興奮してしまった。やはり知っている土地の風俗が出てくると面白いんですよ。行ったことがあるのとないの、更に住んだことがあるのとないので、全然感じ方が変わって来るからな。
相変わらずの時代考証盛り込みまくりっぷりで、その上実在の人物まで混ぜ込んできて、教養の無いわたしはどこからどこまでが史実なんだ……と迷いまくりでしたが、上海マフィアの話は面白かったね〜。さっきから面白かったしか言ってない。ヨーロッパ側の出来事ももちろん面白かったよ。たくさんの知識を元によりいっそう深く調べまくって書いているんだろうなあ。
BL嗜好としては、まずは双頭の二人に萌えないと始まらないじゃないですか。でもわたしあんまり兄弟・双子ものって……ハリー・ポッターのウィーズリー双子以外はピントこないんですよね……笑 まあ一番ガチなところは別なわけだけど。それはきちんと萌えたけど。
いかにも小説っぽいものが読みたくなったら読むといいです。