Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

綾辻行人『暗黒館の殺人(上)』  ★★★

暗黒館の殺人 (上)
暗黒館の殺人 (上)
綾辻 行人
 亡びてしまつたのは
 僕の心であつたらうか
 亡びてしまつたのは
 僕の夢であつたらうか

 記憶といふものが
 もうまるでない
 往来を歩きながら
 めまひがするやう(中原中也

 いかがわしー!笑
 私はこれを求めていたのよっていういかがわしさでした。不健康でさ。嵐の山荘ものはこれから連続殺人がはじまるんだ……! と無条件にわくわくする。資産家の一家には怪しげな儀式とかあるし、乱歩の『孤島の鬼』を意識したらしくシャム双生児や隔離病棟? みたいなもの出てくるし、これはミステリというより怪奇幻想小説でしょう。だって、殺人が始まるまでに半分以上のページを費やしたもの。
 九州の山深く、外界から隔絶された湖の小島に建つ異形の館―暗黒館。光沢のない黒一色に塗られたこの浦登家の屋敷を、当主の息子・玄児に招かれて訪れた学生・中也は、“ダリアの日”の奇妙な宴に参加する。その席上、怪しげな料理を饗された中也の身には何が?続発する殺人事件の“無意味の意味”とは……? シリーズ最大・最深・最驚の「館」、ここに落成。(Amazon
 分厚すぎる、と気分が乗らないときは敬遠してたけど、講談社ノベルスってあまり文字が詰まってるように思えないよね。空白が多めでさ。下手に文庫読むより読みやすいとこがある。目を動かす手間も省けて(笑)
 こんだけの長さがあれば十分殺人事件が起こって解決もできそうだけど、怪しげな雰囲気に免じてよしとします(何様だ)下巻を早く読まねば。まだ物語ははじまったばかりだよ。