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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

小川一水『復活の地 Ⅰ』  ★★★★

復活の地 1
復活の地 1
小川 一水
 知り合ってまだ半日もたっていない。だがソレンスにはもうわかっていた。
 自分には――そして帝国には、この男が必要なことを。

「指導者なんてこんなものだ。他人より損な役回りをするから責任者と言えるんだ。そうでない責任者が存在するほうが間違っている。そうだろう?」

 六月は面白い本によくあたって嬉しいばかり。中でも、これを全巻読破すれば一位に躍り出ること間違いない。ほんと、面白いとしか言いようがない。エンターテイメントってこういうことだ。単純にわくわくする。
 王紀440年、惑星統一を果たしたレンカ帝国は今まさに星間列強諸国に対峙しようとしていた。だが帝都トレンカを襲った大災厄は、一瞬にして国家中枢機能を破壊、市民数十万の生命を奪った。植民地総督府の官僚であったセイオは、亡き上司の遺志に従って緊急対策に奔走するが、帝都庁との軋轢、陸軍部隊の不気味な動向のなか、強力な復興組織の必要性を痛感する……。崩壊した国家の再生を描く壮大なる群像劇、全3巻開幕。(裏表紙)
 簡単に言えば、大地震に襲われめちゃめちゃになった国を復興するぜこのヤロー! って本です。主人公は表紙をかざる弱冠28歳のセイオ。ヒロインの座にあたるのは皇族の直系であるスミルでしょう。んでもって敵役はサイテンという議員。セイオはなまじ実力があるゆえに他者との衝突を避けられず、前途多難って感じ。ストーリーの骨子はわかりやすく、太い。
 何でも関東大震災をモデルにしているようですね。自分では気づかなかったけど、確かにそうだ……政治のあり方や、災害にかこつけて殖民地のジャルーダ人が迫害されるところ。ほほう。
 国の要人がほとんど消えた今、新たに組まれた内閣の狙い。スミルはこの先政治に深く関わっていくのか。セイオが望まざるも国を救わねばなるまいという決断をした根本の理由とは。国は、かつての姿を取り戻せるのか、更なる発展は可能なのか。レンカ星以外の主要星の動きは。と、物語はまだまだ序章。