Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

白石一文『私という運命について』  ★★

私という運命について
私という運命について
白石 一文

「所詮、人間なんて自分の夢や希望を実現するのが一番の希なんかじゃなくて、その夢や希望を誰かに託す方がずっと満足できるのかもしれないって近頃は思うわ。自分だけの夢や希望だったら、達成してしまえば、もうそれは夢でも希望でもなくなっちゃうんだしね。(中略)それに比べたら、私たち女は、長い時間の中で自然に生かされているような気がする」


 ダ・ヴィンチのプラチナ本だったから借りてみたんだけど……イマイチ。どこぞの書評ブログさんで「精神が健康だからイラつく」という意見があって、納得してしまった。もっと健康的な恋愛小説が読みたいかも!
 長編だけど、手紙ごとにあらすじ書きます。だからネタバレになるので嫌な方はお逃げください。
 雪の手紙:冬木亜紀は結婚を申し込まれたが断った、かつての交際相手・佐藤康の結婚式に招かれる。が、康の母が未だに亜紀にこだわっているため、こないでくれと頼まれてしまった。
 黄葉の手紙:九州に赴任し出あった稲垣純平。運命を感じつつ、WEBデザイナーの純平の独立を機に、結婚を決めたのだが……。
 雷鳴の手紙:弟・雅人は思い心臓病を抱えている沙織と夫婦になった。諦めていた子供を授かるが、母子ともに帰らぬことに。その後雅人は荒れに荒れて……。
 愛する人の声:亜紀は香港で働く康に何の因果か、インタビューすることに。康は結婚後肺がんを患い、治ったのにも関わらず離婚していた。二人は十年の時を越えて結ばれる。
 何が気に食わないって、この繊細な世界。そしてラスト。想像はしてたけどどうしてここまで、と思う。

 

 亜紀は子供を産むんだけど、康が地震に巻き込まれ死亡。しかし亜紀は康の田舎で暮らすことに。「死んだら馬になって会いにいく」と言っていたように、祭りの時、一頭の馬が亜紀に近づいていくのでした、みたいなラストだったかな。
 ハッピーエンドでいいじゃないー癌の疑いも晴れてここまで引っ張ったんだし! と憤慨してしまったのさ。