Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

山田悠介『Aコース』  ☆

Aコース
Aコース
山田 悠介

「ああ!」
「ちょ、ちょっと!」
 止めたのは憲希だった。ピンクのパジャマを着た髪の長い女性が、窓から飛び降りようとしているのだ。
「もう訳がわからん」
「何してるんですか!」

「こんなにお前に手こずるとはな……さすがだぜ」
 頭を壁に張りつかせていた賢治の耳に、そう聞こえてきた。


 びっくりした。訳が分からんのはこっちだ。
 『リアル鬼ごっこ』で一世を風靡した(色んな意味で)彼ですが。いやあすげえや。合宿に友達が持ってきてて、クソだから燃やすと意気込んでいたので燃やす前に読ませろ! と奪ったものの……ああああ。燃やして、よかったんじゃないかな? 通学途中の電車内、30分かけてしまった自分が馬鹿みたい。プリズンホテルにすればよかった。その上山田スレを見つけて読破してしまった自分、馬鹿みたい。
 賢治たち高校生五人が挑んだ、ゲーセンの新アトラクション「バーチャワールド」。メニューの中から「Aコース」を選ぶと、次の瞬間、彼らは炎に包まれた病院にいた。襲いくる敵を退け、ここから脱出するのだ。しかし設定にはない女性の自殺現場を目撃して以降、連続する不可解な事件。本当にこれはゲームなのか?(裏表紙)
 どこにでもありそうな設定ですが、結末がないです。それはねえだろ! このあおりで、それは……。誰視点かが定まらない文章は読みにくいもののリア鬼と比べれば……(読んだことないけどスレで挙げられていたので)。てゆうか表現が分かりにくいよね。感情移入なんて無理だし。登場人物少ないから、誰が誰かは把握できましたけど。
 これを読んだ方がいたら是非いっしょにこきおろしたいね(笑)続刊で『Fコース』なるものも出てますよ。いい加減にしてくれ。

 

 結局、怜は何であんなに熱くなっていたんだい? 理由を教えてくれないか。そこが一番気になった。賢治と戦うためだけじゃなかろうよ。
 えーと。そう、コンティニューね。リタイアしたくせにそんなのあるんだ。まあここは許そう。昭和61年、敏晃の母親が自殺した日……薄っぺらかったな。舞台は事実に基づいています、か。てっきりタイムスリップでもして、新生児室にいる赤ちゃんが自分達で、そいつらを救わないと今の自分もいなくなる、みたいなもんだと思ったさ。全然違いましたね。「これはゲームなのか?」と言ってるくせに、大したことなくゲームで終わってしまった。ベタでもいいから現実でも死んでおけよ!