Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

東川篤哉『殺意は必ず三度ある』  ★★★

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)
殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)
東川 篤哉

 のんきを絵に描いたような鯉ヶ窪学園。敗退を続ける野球部グラウンドからベースが盗まれてしまう。オレ(=赤坂通)が唯一の下級生として在籍する探偵部員の総力を結集しても謎は解けない。後日、野球部とライバル校との練習試合終盤に事件は起きた。白昼堂々、球場で発見された野球部監督の死体に騒然となる両校関係者と捜査陣。動機は不明、球場ではアリバイ実験も行われるなど混迷をきわめる事件に、オレたち探偵部三人が事件に首を突っ込んだ。しょうもない推理合戦の先に待つものは……。(Amazon


 シリーズ物は大きく「第二段!」とでも書いておいてくれ! 悲痛な叫びである。気になるから読んじゃったけどさあ……通りで最初からキャラが主張しすぎていると思った。
 東川は学園ものも書いてるよ、と聞いていたんだけどこれがそうか。探偵部の三人と刑事二人組がレギュラーかな? 高校が舞台のミステリには否応なしにときめいてしまうね。青春! 私としては先輩二人が卒業した後の赤坂君が心配だ。部長ほどではないがすっとぼけたキャラだから平気なのかな。それとも後輩が入ってくるとか。
 相変わらずの軽いノリ・極めて読みやすい文章で、あっという間に読めました。「どの作品もそこそこ面白い」というのも聞いていたんだけど、どうやら当たっているようだ。そういう作家は手堅く楽しみたいってときに有難いよね。しかも東川、殺人事件のくせに口当たりは軽くて爽やか。
 冒頭、《申し込んだり断ったりした仲》だったのを部長と八橋さんのことだと勘違いして、何だと……? と激震が走った。しかし読み返してみたら部長と桜井さんのことでした。何だと……? がっかりだぜ!
 トリックについては面倒な! と思った(笑)

 

 ホームベースを盗んだのは二つのダイアモンドを作り出すためだったのか! そりゃあ考え付かないな! 私もてっきり芹沢先生かと思ったもん(笑)三馬鹿の仲間入りだ。
 理事長=賢三とナチュラルに勘違いさせることによって、読者に正しい推理に至らせず(判明するや否や真知子さんが探偵役に取って代わってしまうため、推理してる時間もない)、予想外の種明かしをしてみせるってやつかあ。叙述ってわけじゃないから騙された感も薄いし、やっぱりさらっとしてるわね。
 キャプテン土山が「車椅子募金!」なんて言い出すから、犯人なのかと思っちゃったよ。よくよく考えると高校生が犯人のミステリってえげつないなー。