小川洋子『ブラフマンの埋葬』 ★☆
ブラフマンの埋葬
小川 洋子
僕が話しだすと、必ず彼は僕の目を見た。疑いも持たず、うんざりもせず、あまりにも澄んでいるので本当にそこにあるのか心配になってくるほどの瞳を、こちらに向けてきた。かつて誰かにこんなふうにただひたすら、見つめられたことがあっただろうかと、思い出そうとしてみたが、思い出せなかった。
『博士の愛した数式』が売れた小川洋子(この言い方は悪いかしら)。模試に出たりもしたね。それに続く本書だから、さぞかし期待されたことだろう。
<創作者の家>管理人の僕は、ある日弱っていた子どもの動物を拾った。碑文彫刻師はブラフマンと名づけたそれは、水が好きで齧り癖のある、犬とも猫ともいえない生き物。僕とブラフマンが過ごす日々を淡々と語る。
少しだけ異世界に生きる人たち。イメージカラーは白。題名が示している通り、結末は分かりきっている。涙が一筋頬を伝う切なさ……とか書いておけばいいのかもしれないけど、私はあんまり楽しめなかった。雰囲気を楽しめよ、と言われそう。でもねえ。エンターテイメント性を全てに求めるわけではないが、もう少し……何か……。
ブラフマンはどんな動物なんだろうねえ。水かきがあって、肉球があって、小さな耳がついていて。胴のわりには短いあし。どんなんよ? 想像する限り可愛くないんですけど。グロテスクそうなんですけど(情緒の欠片もない感想)。
今日は文字を追っていても内容が頭に入ってこなくて困った。これはともかく、御手洗はだめだ。ちゃんと読まなくちゃわかんないってば。