Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

綾辻行人『黒猫館の殺人』  ★★

黒猫館の殺人
黒猫館の殺人
綾辻 行人

「自分の行動を理性でコントロール出来ないような状態になる事が、耐えられないんです。一体何処がそんなに面白いのか」
「理性という言葉がお好きなようですな」
「そうですね」
 氷川は薄く笑って、
「今のところ、それが僕の“神”ですから」
「大胆なことを」


 テスト前だから一週間ほど本断ちしていたのに、勉強しようと入った図書館でずっと借りることの出来なかった館シリーズ第六段を見つけた。瞬速で手に取り、その日中に読み終えてしまった。……そうか、最近のストレスの原因はこれだったのか。その後、伊坂の新刊を買い、母がプリズンホテルの冬を借りてきてくれ、金城一紀の新刊まで図書館に届き、今では荒れてた舌がすっかりおさまってきました。もうこんな無駄なことはすまい。
 6つめの「館」への御招待──自分が何者なのか調べてほしい。推理作家鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人はそう訴えた。手がかりとして渡された「手記」には彼が遭遇した奇怪な殺人事件が綴られていた。しかも事件が起きたその屋敷とはあの建築家中村青司の手になるものだった。惨劇に潜む真相は。(Amazon
 相変わらず時間はないのであらすじ引用。あと手記の内容の事件について触れておくことにする。鮎田冬馬は黒猫館の管理人をしているのだが、久しく一人きりですごしていたところに、持ち主の息子とバンド仲間が訪れることになる。鼻持ちならない彼らは、町でナンパしてきた女と大広間に篭って一晩を過ごしたのだが、翌日の朝、悲鳴が聞こえ広間に入った鮎田が見たのは……。
 巷では評判の良くない本書だが、私も似たような感想を抱いた。やっぱ、時計館が素晴らしかったのもあってさ……。あれを想像して読むと、とんでもなくがっかり? します。ミステリー色の薄さは迷路館よりだね。結末を知ってびっくり、ってのはあまり。
 伏線が張り巡らされているので、再読すれば楽しいかもしれないけれど別にいいや、と思ってしまう。雰囲気は好きだよ。友達で時計館よりこっちが好きだ、って子がいて、皆に不思議ちゃん扱いされていました。やっと暗黒館に手が届きましたが、暗黒も相当アレなようで。しかし達成感があるな!(まだ早い)

 

 館が二つあったとはねえ。手記と実際の館を比べて、明らかにおかしいとはおもったんだけど、しかももう片方はオーストラリアにあるなんて。鮎田=天羽ってのは感づいたとはいえ、別に左手で心臓押さえてもよくないか? あんなにしつこく左手が連呼されてるのに気付かない私が言うのも何ですが。
 レナが殺されたのではなかった、ってのもびっくりでしたわ。あの状況じゃ犯人当ても面白くないけどさあ……。
 江南くんが復活してたのはよかったですね。島田ももう御年41かあ。早いなあ。