Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有栖川有栖『マレー鉄道の謎』  ★★★☆

マレー鉄道の謎
マレー鉄道の謎
有栖川 有栖
 マレー半島を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件! 外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事切り伏せられるのか?
 ……他の方々の評価はいまいちなんだけど、私としてはとても楽しめた。序盤はのんびりとマレーシア気分を味わい(確かにここは間延びした印象)、事件発生から解決までは一気に読ませます。カタカナの名前が嫌いな私だけど、登場するのはほとんど日本人。淋しいのは日本の警察の面々が現れないこと。舞台がマレーシアなんだから当たり前なんだけどさ。森下刑事好きなので(お前はどこまで脇役好きなんだと突っ込まれたよ)。
 トリックは、『三毛猫ホームズの推理』を読む前だったので充分驚けた。でも、そっちを先に読んでたら無理だろうなあ……。じゃあ何が好きなんだ、って聞かれるとよくわからないな。火村とアリスが好きなんだろ、って言われたら頷かざるを得ないけど。大龍の大学時代の女性エピソードは哀れで仕方ないね。彼といいアリスといい、女で手厳しい目に遭ってる。火村は女嫌いだし、こいつら一生独身じゃないかしら。
 友達曰く「そろそろ『若白髪』から『若』が取れてもいいと思わない? 三十幾つも過ぎてんのにいつまで若いつもりかね~」確かに! その場にいた火村シリーズ読者は爆笑。ですよね、若白髪ってのは二十代までで終わりでいいわ。若くなくても構わないんでアリスも認識を改めよ。

 

 これは密室をいかに作るか、ということよね。クローゼットの中に死体を入れて、部屋自体を持ち上げて傾斜をつくり、目張りを完成させる。でもさ、人の手でぴっちりと貼った場合と違うんだから、テープがちょっと浮いてしまわないのかな? 空気入ったりとか。剥がす時、妙に簡単だったりとか。そんなこと考えてはいけないのかな。