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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

畠中惠『しゃばけ』  ★★

しゃばけ
しゃばけ
畠中 恵

「血の臭いがする! 一太郎ぼっちゃん、怪我をしたんですか?」
「もう、ぼっちゃんはよせと言っているのに! いつまでも子どもじゃぁないんだから」
 言い返した若旦那の言葉なぞ聞いてもいない。あっという間に佐助の手が伸びて、赤子のように軽々と抱え上げ、傷の有無を確かめにかかる。
「怪我なぞないわ!」
 思わず声を上げたが、こうなると手代たちは、確認するまで引き下がりはしない。

 こちらもかつくらで特集が組まれていたので。あと表紙の味がある絵に惹かれて。作者は漫画家でありながら、作家を目指して本書でファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞したらしい。丸括弧の使い方が独特で、文章の流れがあまり完成されていないような。たまにわかりにくい。
 長崎屋の若だんな・一太郎は眉目秀麗だが、唯一の欠点はひどく病弱なこと。やっとできた息子に対して甘すぎる両親と、五歳から一太郎の世話を焼く佐助と仁吉の妖コンビが、目の中に入れても痛くない可愛がりっぷりを発揮していて一太郎はちょっと窮屈。そんな彼がそっと家を抜け出したある夜、殺しの現場に行き合わせてしまったからさあ大変。次いで一太郎本人が襲われ、同業者が連続して殺される。別々の下手人たちは皆、ある薬を欲しがっているようだが――。
 江戸を舞台にした、ほのぼのファンタジー。妖怪といえば京極夏彦のシリーズが思い浮かぶけれど、おどろおどろしいわけじゃない。一太郎に褒められたくて頑張ったり、手柄を横取りされて妬んだりと、愛嬌があり微笑ましい妖たちばかり。中でも屏風のぞきが好きだな。
 連続殺人事件が起こるので、ちょっとしたミステリ仕立てにはなっているが、まあファンタジーですから読者が推理できるものではないと思う。のんびりと彼らを見ていればいい。
 シリーズの続き『ぬしさまへ』『ねこのばば』が出ている。どうしよう、読もうか読むまいか。これらは短編集らしいので、軽いだろうけど日記書くのは大変なんだよな……あらすじが。でもやっぱり序章というか、まだ解決してない部分が多いからな……時間ができたら。