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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』  ★★★★☆

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕

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英国情報部“サーカス”の中枢に潜むソ連の二重スパイを探せ。引退生活から呼び戻された元情報部員スマイリーは、困難な任務を託された。二重スパイはかつての仇敵、ソ連情報部のカーラが操っているという。スマイリーは膨大な記録を調べ、関係者の証言を集めて核心に迫る。やがて明かされる裏切者の正体は?スマイリーとカーラの宿命の対決を描き、スパイ小説の頂点を極めた三部作の第一弾。著者の序文を付した新訳版。(Amazon

 翻訳は微妙だけど内容は最高ですね!! 最高! 読むの大変だけど面白いです。

 多分トム・ハーディ目当てで映画「裏切りのサーカス」イギリス版DVDを先に見ていたんですが、この映画もキャスティングが豪華な大変良い映画で、 ただ説明がかなり省かれているので原作未読の人にはあまり優しくない内容で、でも今回小説を読んだらこっちも優しくないから、映画化はいろんな意味でとってもいい線いってたんだなと思いました。せっかく三部作なのに続編作られないのかなあ!

裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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 映画版で大きく設定が異なっていたのがベネディクト・カンバーバッチ演じるギラムですね。どういう意図のもとでこうなったんだろうね。カンバーバッチと、トム・ハーディ演じるリッキー・ターを若手俳優コンビで並べたかったのかなあ。コリン・ファース演じるジム・ヘイドンに対する作中での賛美されっぷりには笑いました。ドリアン・グレイの生まれ変わりだって? それはコリンにやらせるしかねえな。

 本作を含むスマイリー三部作はスパイ小説の金字塔と言われており、情報量が多い文章のため値段あたりのコスパが(一部は翻訳のせいで)とてもよく、TTSSに関してはJUNEとしても完成されている上、UK俳優有名どころ集めましたみたいなキャストで映像化されてるのがすごい。ぐうの音も出ない。皆映画を見てから読むといいよ。映画見ても小説読んでも一回じゃ理解できないから。

 映画版での某二人の退場に心を痛めておりましたが、小説面白かったので、続きを読もうという気になりました。

「親」ことヘイドンに捨てられたギラムだけがカミラを取り戻すことができたのに、映画では自らパートナーを切り捨て一人で泣き最後まで一人のまま……つらい。でも映画での彼の「親」はスマイリーに変わっていたんだっけ……見返さないと覚えてないな。映画版スマイリーはアンを取り戻したような気がするんだが、だとしたらマジで映画版ギラムには救いがないな。笑 でもカンバーバッチが荷造りするパートナーの横で泣いていう映像はとてもよかったですよ。