ジェフリー・ムーア『キャズム』 ★★★★☆
キャズム Ver.2 増補改訂版 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論
- 作者: ジェフリー・ムーア,川又政治
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2014/10/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書が解説する「キャズム理論」は、いまや米国のみならず世界中の常識となったマーケティング理論です。今回の改訂により、成功例/失敗例を問わず、すべての事例が刷新されたほか、ハイテク市場の発展段階をまとめた「トルネード理論」の概要と、ネットビジネスの急成長モデルとして「フォー・ギアズ・モデル」の解説が新たに加わりました。自社製品の生き残りをかけている企業の経営者、営業/マーケティング担当者、必読です!
●事例:キャズムを越えたサービスや製品無線LAN、3Dプリンター、SNS、クラウドソリューション、ハイブリッド自動車、スマートフォンなど。(Amazon)
わたしが読んだのは残念ながら改定前のものですが、事例が刷新されても理論自体は変わらないみたいだね。トルネード理論も読みたかったです、電書は自動アップデートしてくれればいいのになあ。
読みさしの『イノベーションのジレンマ』が固め(ペンパルマフィア比)の文章だったので、エンタメ色を求めて手を付けたはずが、進むにつれて現在の本業と具体的に結びついて来て、結果的に全然軽くなかった。笑 「ハイテク市場」というとついAppleやIBMやGoogleを思い浮かべて自分とはあまり関係ないでしょ〜と思っていたんだ、しかしこれはどちらかというとシステムベンダーの必読書……ホールプロダクト……セールスとマーケティング……これは……(厳密にはベンダーではないけど)わたしにとっての現実の話……何というあるある……。
「キャズム」という言葉の定義自体はこんな感じ。
まず購買層を次のように分類する。
イノベーター (innovators)
新しい技術が好きで、実用性よりも新技術が好きな人。オタク。アーリー・アドプター (early adopters)
新しい技術によって、競合相手などを出し抜きたいと思っている人々。アーリー・マジョリティー (early majority)
実用主義で役立つなら新しい技術でも取り入れたいと思っている人など。レート・マジョリティー (late majority)
新しい技術は苦手だがみんなが使っているなら自分も使わなければと思う人たち。ラガード (laggards)
新しい技術を嫌い、最後まで取り入れない人々。
それぞれの間に溝があり乗り越えなければならないが、特にアーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間の大きな溝(キャズム)を乗り越えられるかどうかが、その製品が普及するか、一部の新製品マニアに支持されるにとどまるかどうかの一番の鍵である。キャズム (書籍) - Wikipedia
重たいのはこの先のセールスとマーケティングの部分でして……面白いんだけど、ビジネス書を読み慣れていないせいか結構疲れました。現状と引き比べていたせいかもしれん。耳に痛い話ばかりだった。
一番ですよね〜と思ったのは「ターゲット・カスタマーと深いパイプを持っていて、顧客企業の内側からドアを開けられる人間」=「ターゲットにしている業界の役員クラスをこちらに迎え入れ」ってところ。やはりそれが最適解なのね。あ、あと「VARにとっての利益の大部分は、製品販売に寄るマージンからではなく、コンサルテーションによる付加価値から生み出され(中略)そのため、抱えているスタッフがフル稼働の常態になれば、VARはそれ以上の販売努力を一時的に中止してしまう」うっうっ分かってる。
マーケティングのために、実利主義者が社内でアドプトできるようにあえて比較対象を作る、ってあたりを読みながらピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン』を思い出した。競争するなって主張しか今となっては覚えてないのだが。BtoBビジネスの場合は複数を比較検討した上で選びました、って社内プロセスを経て受注に至ることが多い(それなしに選ぶにはよっぽどの理由がないとな)ので……ホールプロダクトね!! 耳が痛いなー!
ざっくり読んだだけなので、リアルに役立てられるように精読したいですね。というのは願望のまま終わりそうだけど。だめなんだけどそれじゃ。とりあえず先にイノベーションのジレンマを片付けます。今は多読したい。