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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』  ★★★★

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

ごく普通の会社が、世界有数の経営者に率いられた超一流企業に勝るめざましい業績をあげるまでに変身した。全米1435社の中から選ばれた傑出した業績を長期間持続させることに成功したジレットフィリップ・モリス、キンバリー・クラーク、ウェルズ・ファーゴ等の飛躍を遂げた企業11社をそれぞれの業種で競合関係にある企業と詳細に比較・分析した結果、飛躍したこれらの企業には共通した以下のような特徴があった。

●飛躍を導いた経営者は、派手さやカリスマ性とは縁遠い地味なしかも謙虚な人物だった。その一方で勝利への核心を持ち続ける不屈の意思を備えており、、カエサルやパットン将軍というよりは、リンカーンソクラテスに似た思索する経営者であった。

●飛躍を導いた経営者は、最初に優秀な人材を選び、その後に経営目標を定める。目標にあわせた人材を選ぶのではない。

●飛躍を導いた経営者は、自社が世界一になれる部分はどこか、経済的原動力は何か、そして情熱を持って取り組めるものは何かを深く考え、必要とあればそれまでの中核事業を切り捨てる判断さえ下す。

●劇的な改革や痛みを伴う大リストラに取り組む経営者は、ほぼ例外なく継続した飛躍を達成できない。飛躍を導いた経営者は、結果的に劇的な転換にみえる改革を、社内に規律を重視した文化を築きながら、じっくりと時間をかけて実行する。(Amazon

 面白かった、んだけど、一作目の方が初めて読んだのもあってエンタメ的なインパクトがあったかなー。こういう書籍をエンタメとして消化するんじゃないという苦言は受けますが、やっぱり読んでて楽しい方が読書体験として上じゃない?

 毎度のことながら調査にかける時間と手間が半端ない。前作は六年、二冊目は五年ですか? 調査対象会社を選び出す手法の時点でわたしは目眩がしたし、その後の調査やインタビュー項目の多さには気が遠くなってほとんど読んでません。本文だけ読みました。

 肝心の内容は、言われてみれば、ものすごく目新しいことを言っているわけではない、と思うんですよ。第五水準の指導者概念については、カリスマ指導者が目立つ現代のIT企業と引き比べて意外に感じられるんだけど、ごくごくまっとうで納得できる論点ばかり。しかし著者が述べているように、この全てを満たすのはまず無理であって(と言ってしまう時点で駄目なのだが)、うちの会社なんてボロボロだよお……後継者育成まったくできてないけどどうするのか。

 まずはRight peopleをバスに乗せるんだ、っての一つとっても難しいですよね。いるのかなうちの会社に。結局人の地頭や性格といった後天的に身につけるのが難しい部分が大事になってくるじゃないですか。でも凡人にもできることはあるはずなんだ。Right peopleを手放さずに済む制度設計とか……何か……。

 43%目あたりに出てくる奥様のエピソードに笑いました。可笑しかったんじゃなくて、すごい人の周りにはすごい人が集まるんだなって意味で。優勝おめでとうございました。

 次何読もうかなー。同じくベゾスお勧めの『イノベーションのジレンマ』を読み終えておくか。