Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ジム・コリンズ、ジェリー・ポラス『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』  ★★★★★

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

3M、IBM、ディズニーなど時代を超え際立った存在であり続ける企業18社を選び出し、設立以来現在に至る歴史全体を徹底的に調査、ライバル企業と比較検討し、永続の源泉を「基本理念」にあると解き明かす。(Amazon

 誰もが読んでいる本に対しておもしれー! とか言うの教養の無さ丸出しで恥ずかしいんですけど、すごく面白かったです……。ハウツー本ほど軽薄でなく、学術書ほど重くもなく、エンタメとしても読めます。本文中には難解なことが書かれていないので本当誰でも読める。

 経済系書籍をほとんど読まないわたしが本書を知ったのはAmazonのベソス伝記に愛読書として上げられていたから(感想)。ベソス本ではAmazonと同じく小売のウォルマートの話もたくさん書いてありましたが、ビジョナリー・カンパニーの例に使われていたくらいだったんですね、ウォルマート。

 わたしの教養レベルの低さのせいで、企業リストを読むだけでも面白かったし(3Mがマイニングから始まってたとか知らなかったよ)、HPやIBMの話は、最近読み終えたジョブズ本で(ジョブズによって)滅茶苦茶言われていたのを思い出して面白かったですね。この本1994年にアメリカで出版だもんな。20年前だよ。

 しかしAmazonAppleが顧客第一主義をこれでもかと掲げていること、Google(の従業員個人)が基本理念に沿ってプロジェクトの取捨選択をしていること等、今をときめく色んな会社に参考にされているんだ〜と思いました。そこらへんの新興企業がどんな後継者育成をしてくるのかも楽しみですね! ベゾスもジョブズもワンマンだったからあまり成功しているようには見えないので……。

 あとは自分の今の会社の状態と引き比べて今後どうすればいいんだろうと考えたりしていました。今所属している部署、前上司だったときは絵に描いたようなワンマンで、彼がいなくなったら分かりやすく断絶が発生したのだけれど、それは後任者のせいだけではなく(後任者のせいも確実にあるんですよ笑)、彼が己がいなくなった後の組織作りをしてこなかったことに原因があったんだなあと。現在の上司は組織作りに主眼を置いていて、それは評価できるのだけど、にしても当事者意識が薄すぎ――これ以上はやめとこ。笑 あと本社で後継者育成が全然できてないとかね、痛いところたくさん突かれていたわ。さすがに管理職レベルは意識してるんだろうが、意識だけじゃどうにもならないのよねー。とりあえず管理職対象にこの本使って研修したらどうか。笑

 日本人としては、ソニーとケンウッドがアメリカ企業以外で唯一登場したことにちょっとした嬉しさを感じてしまいますね。ソニーの音楽事業についてはやはりジョブズ本でけちょんけちょんに言われていたし、VAIO切り離したり何やらで日本の電機系は暗雲しか見えないですけど……。

外市場を視野に入れなければ、井深氏や私が思い描いているような会社にすることはできない、と強く感じるようになった。われわれとしては、日本の製品は品質は悪いという外国での評判をどうしても変えたかった……(盛田昭夫他『MADE IN JAPAN』)

 現在の「安かろう悪かろう」代名詞とも言える中国在住なので、色々と思うところもあり。日本製品が中国において安心・安全と見なされ、特に子供に使うオムツや肌に直接塗布するスプレー等を「爆買い」されているのは、ソニーをはじめとする日本企業が品質改善に取り組んで来た結果なんですね。まさに今、中国も頑張っているよね。国内用に高品質炊飯器を作ったり、美的が東芝の白物家電部門を買収したりさ。

 次の『飛躍の法則』の方が有名みたいなので、引き続き読んでみます。