藤原伊織『ダックスフントのワープ』 ★★☆
- 作者: 藤原伊織
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/11
- メディア: 文庫
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大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。「僕」は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち、日々の対話を経て症状は快方に向かっていったが…。表題作ほか三篇。(Amazon)
春樹っぽい「僕」を語り手とした三編が入ってるんだけど、最終的には絶望しかないところが藤原さんですねって感じ。こんなに炸裂的に悲劇的な話だったっけ?笑 特に表題作、正直ひどいとしか言いようがないのだが……。
とにかく女性が悲惨な目にあうことが多いんですよ、藤原作品では。純文学風だろうとハードボイルドだろうとエンタメだろうと。虐待されるか、レイプされるか、殺されるか、死ぬか、自殺するか、それらの複合技か、そのあたりが女性の運命だと思って読まないとだめです。
それでもこの人の本が好きなのは、エンタメ部分は文句の付けようがないくらい面白いし、男同士の絆はうまく書けているし、何より文章が好きだからですね。もう亡くなってしまったから、あるものをひたすら読み返すしかないのが残念。