Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

レイモンド・チャンドラー『高い窓』  ★★★★

高い窓

高い窓

私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いにもどこか裏がありそうな気配だ。マーロウは、リンダの女友だちや金貨の所在を尋ねてきた古銭商に当たるところから調査を始める。が、彼の行く手には脅迫と嘘、そして死体が待ち受けていた―『高い窓』の新訳版。(Amazon

 文庫出るのがいつになるか分からないので買った。そしたらカバー下や中表紙がかわいくて、文字組にも余裕があって単行本はやっぱりいいな……と思ったけどいかんせん場所を取るんだよな。値段はあまり気にならなくなってきた。てかこの装丁で2000円なら安いとすら思う。南米文学を見てよ!!

 中身について。春樹訳のチャンドラーは文章のために読んでいるようなところがあり、途中であらすじを見失ってしまいがちなんだけどw、本書はそういうこともなく、村上氏が巻末で言っている通り筋の通った話だと思った。とても分かりやすかった。

 シリーズ五冊目にもなると、目新しさを見つけるのも大変になってきて、事実目新しさはあまりないのだが、私個人はウィットに富んだこの文章を村上氏が翻訳してくれることに大いに感謝しており、あと二冊も心待ちにしています。次が出るのは日本に帰った頃かもしれないなー。最終的には文庫で全部揃えるつもり。