Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

カート・ヴォガネット『デッドアイ・ディック』  ★★★☆

人生にご用心―オハイオ州ミッドランド・シティのドラッグストアで薬剤師をつとめるルディ・ウォールツは、いかにしてデッドアイ・ディック、すなわち必殺射撃人と呼ばれるようになったのか。ルディの父オットーは、いかにして若き画家アドルフ・ヒトラーと親友になったのか…祖国の中性子爆弾によって、やがて滅びる運命にある街で、奇人・変人・普通人たちがコミカルに織りなす人間模様を描く、涙と笑いの感動作。(Amazon

 初めてのヴォガネットを無事読み終えました。翻訳も浅倉さんでとてもうまくて、イギリスのブラックユーモアとは違う、なんていうのかね……開き直った笑いみたいなのが気が利いててよかったと思います。津原さんの本棚から選んだんだけど、確かに津原さん好きそうだな……と笑 戦争の経験(ドレスデン空爆)からディストピアたくさん書いてるのかなあ。
 細切れに文章を区切っていくやり方はちょっとやってみたいけど、ちゃんと一筋の話を考えてやらないとただの散漫で終わりそうだな。この一文でひと段落使うのか、って箇所が多々あり、いいアクセントになっていた感があります。割かし長いからな!
 アメリカ人が家族の話を書くと、それが一地方都市の話であってもなくても、土地の広さが違うな! って思う。笑 シャンハイに来てえらい適当なビルの建て方するなあ……と思ったのと似たようなものかな……島国の狭い都会を見て来たから……。マルケスあたりを読んでもそんなに土地的に広いなと思わないんだけど、あれは母語を喋る国がたくさんあるとフットワークが軽くていいなと思います。一繋がりの大地感ではなく、越境の気楽さというか。
 春樹の『風の歌を聞け』、読んだはずなのにヴォガネットを真似している部分がどんなんだかさっぱり思い出せない。伝記的でしたっけ?