津村記久子『アレグリアとは仕事はできない』 ★★★★
- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/06/10
- メディア: 文庫
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「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねえ、と先輩は言うが…。表題作に、地下鉄で繰り広げられる心理戦を描く「地下鉄の叙事詩」を併録。(Amazon)
表題作。……なんだよ、すっごくいいじゃん!笑 というのはですね、1ページ目で主人公がアレグリアに対して思い切り罵倒してるから、パワハラ関係だとばかり思ったんですよ。それも主人公がする側。そしたらアレグリアは、複合機だったわけです。よくよく見たらこのカバー複合機の写真だよ……。はあ、知ってたらもっと早く読んだのに笑 最終的には読んで、面白かったからいいけど。先輩との一席がなんだかんだでほろりときたわあ。
職場のコピー機やらプリンタやらには困らされるもんだ。秘書をやってたころ、朝来て電源付けると恐らく寒さのせいでエラーを起こし、何度も電源をオンオフしなけりゃならなかったプリンタのことを思い出しました。昼過ぎになるとウイルスチェックし始めていっこうに動かないPCとか。どうしようもないけど、急いでる時は死ぬほど腹立つんだよね。共通で使っているものへの不満を吐き出し合える相手の存在ってのは絶対必要だよ。笑 前の会社でのVistaをまともに動かせないPCに対する我々の憎悪といったら……! いくら文句を言っても仕方ないのは分かってる、でも言わないでははいられないんだ……。い出して腹が立ってきた。途中から7(が普通に動くPC)に変わり、みんなハッピーになりましたけれども。そして今、私はXPに逆戻りしてWord2003の使いにくさに閉口しているわけです。遠い目。
「地下鉄の叙事詩」、この人の男視点は男様の下衆い部分をどこまで意識的なのか分からないけどすくい上げていて、読むのが非常に大変ですな。痴漢許すまじ。
私は小説を読むのが好きなだけで読書家ではないけれど、津村さんの小説は(女として)働くにあたって遭遇する具体的な物事へのどうしようもなさが細かに書かれており、共感が半端ない。ベタついてないから読みやすいし。