Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

山田詠美『放課後の音符』  ★★★

大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々―。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。(Amazon

 10年ぶりくらいの再読か。リアルに女子高生のころ読んだ。中身は全部忘れているけどこの語り口懐かしい。平凡自認のある語り手が、憧れの女性に評価されることによって、あら私は平凡ではないのかしらとアピられる短編集。
 山田詠美よしもとばななも、女性の台詞が徹底して女性口調だよなー。私は好意的な立場だけど(自分も使うし)、あまりに連発されるとさすがに食傷するなあ。山田詠美のいいとこは、モノローグが多くて台詞の少ない短編がたくさんあるところ。しかし丁寧語の地の文も結構多くて、それらはあんまり好きじゃない(原稿の役には立たない)。話としては『風葬の教室』がとても好き。