Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

あさのあつこ『NO.6 #8』  ★★☆

瓦解するNO.6、いよいよクライマックスへ。矯正施設の最上階でついに紫苑は沙布との再会をはたした。だが非情にも、それは永遠の別れを突きつけられるものだった。マザーの破壊を願う沙布…。そして、ネズミの仕掛けた爆弾は建物を炎に包んでいく―。爆発、炎上をはじめた矯正施設から脱出するために、紫苑とネズミは最期の闘いに挑む。

 沙布が紫苑ネズミ間に見出しているものがすごい……愛です……「彼がいなければ、あなたはわたしを愛してくれた?」……紫苑はネズミとともに生きていくんだね、うん、お互いの存在なしではきっと生きていけないよね……。
 いつ読んでも言葉選びへのこだわりが感じられる文章だ。拘りすぎて不自然になっている部分もあるけど。さじ加減ですな。
 しかしこのシリーズもついに終わるんだなあ(現時点で既に終わってますが)。さよならのキスに震撼したあの頃が懐かしい……九巻でもキスしてくれるんでしょうね?
 この文字組&それゆえに物語があまり進行しないまま一冊の本として出してしまうのは、ヤングアダルトとはいえ、と思ってしまうけど愛描写がすごいので評価を上げざるを得ない 本編が持つ紫苑ネズミ間の感情描写を上回ることなどできないであろうと、最大手の原作に畏敬の念を抱くよ。同時にあさのさんはインタビューや続編で要らぬ情報を放出することもあるので、『NO.6完全ガイド』はちょっと読むべきじゃないなと思っている。