Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

中山可穂『花伽藍』  ★★★☆

花伽藍 (角川文庫)
花伽藍 (角川文庫)
中山 可穂
 夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。(Amazon

 レズビアンだと公言している著者による(ほとんど)レズビアン小説短編集。よかった!
「鶴」は一番直接的な性描写があったかな。私はあまり不倫萌えがないので、その意味では入り込めなかったんだけども。ビアンとノンケの話。「七夕」はこのしみじみとなっちゃう感じ好きだったなあ。「偽アマント」と表題作もそれぞれ好きだったけど、一番はやはり「燦雨」だわ。八十前後の女性が二人で暮らしていて、片方は全身麻痺、もう片方が老々をしている。んーこれは最初から最後まで素晴らしかったので、とりあえず読んでとしか言えない。すげえなあ……。この短編に限っては星五つだ。