Memoria de los Libros Preciosos

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ポール・オースター『偶然の音楽』  ★★★★

偶然の音楽 (新潮文庫)
偶然の音楽 (新潮文庫)
ポール オースター,Paul Auster,柴田 元幸

 ポール・オースターならこの人と言われる、柴田元幸氏の翻訳はいつもながらの名調子。元消防士の主人公ジム・ナッシュは、妻に逃げられ、疎遠だった父も鬼籍に入った。父の遺産を手に新車を買い、あてのない旅に出る。ここまでなら他のロード・ムービー的な小説と変わりないが、旅が終わった時点からドラマの本質がスタートする。金が底を突くようになったところで、ギャンブラーと知り合い、ひと山当てようともくろんだナッシュだが、思惑ははずれ、ついには借金苦に陥る。二転、三転するドラマの展開の中、静謐さを醸し出すオースターの独特の文章タッチがここでも存分に楽しめる。(Amazon


 ちょ、ちょっと……ショックだ……! 自分がハッピリーエバーアフター話が好きだということを心底実感させられる。笑 ナッシュとポッツィがトローリー暮らしを始めたときは何かがポーンとはじけた。ポッツィってイタリア系? スペインじゃないよな?
 実は最後の最後まで二人が再会するのを夢見てたんだぜ……儚く散ったぜ……でも私のハッピーエンド脳は幸いにも奇跡的な後日談を捻出することができるので、もう、それを……。そいや月六のときもそんなことを思ったな!笑