Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ガルシア・マルケス『コレラ時代の愛』  ★★★★☆

コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
コレラの時代の愛 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1985))
木村 榮一

 夫を不慮の事故で亡くしたばかりの女は72歳。彼女への思いを胸に、独身を守ってきたという男は76歳。ついにその夜、男は女に愛を告げた。困惑と不安、記憶と期待がさまざまに交錯する二人を乗せた蒸気船が、コロンビアの大河をただよい始めた時…。内戦が疫病のように猖獗した時代を背景に、悠然とくり広げられる、愛の真実の物語。1985年発表。(Amazon


 すごいー。としか言いようがない。愛がすごい。十九世紀のリアリズム的な筆致とやらは文学読み慣れてない私にとっては細けえええ長えええと思うこともしばしばだったけど、それが最も適したスタイルだというのは分かる。
 船上描写なんて、クソ寒いときに読んでてもやぶ蚊の飛び回る音が聞こえてくるようだw 蒸し暑いよw 当時のコロンビアがどんなんだったかちっとも知らないけど、まざまざと思い浮かべることができた。最初の二章は結構ぽかーんだったけど三章目から過去に戻るので、安心してください。
 にしてもさあ、72歳だよ。フロンティーノ・アリーサなんて……あれ、何歳差だっけ。すごいよ。水溜りの手紙以降はもう一気に読まざるをえなかった。夢のような愛も、老いのリアルさとあいまって綺麗になりすぎないっていうか。読んでるとよく失望を味わうよねw

 

 フロンティーノ・アリーサよかったねえええええ想い続ければいつか叶うんだねええええ!! 受け入れられた! ついに受け入れられたよ! こっちまで興奮が最高潮だよ。よかった! よかった報われて! そんな簡単な話に還元していいのか、ということは措いといて、全力で祝福した。
 でも初エッチ(笑)は早漏すぎて失敗、落胆、失望、ってところがリアルでいいよねw 七十オーバーのセックスなんて今の自分では具体的に考えられないけど。あーでもよかったです。よかったよかった。理解のあるお嫁さんでよかった。
 フェルミーナ・ダーサの百年の恋が冷めた瞬間、ふっと全てが色褪せる瞬間、あれも分からなくはないんだけど、フロンティーノ・アリーサが可哀想すぎたからさあ……。でも少なくとも二人の女性を死に至らしめたことをもっと悔やんでください(笑)