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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』  ★★★★★

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)
米原 万里
 1960年、小学校4年生のマリは、プラハソビエト学校にいた。男の見極め方やセックスのことを教えてくれるのは、ギリシャ人のリッツァ。ルーマニア人のアーニャは、どうしようもない嘘つきのまま皆に愛されていて、クラス1の優等生はユーゴスラビア人のヤスミンカだ。30年後、激動する東欧で音信の途絶えた彼女たちと、ようやく再会を果たしたマリが遭遇した真実とは―。(Amazon

 終始涙を浮かべながら読了。世界が平和になればいいのに、というつまらない感想しか出てこない。リッツァの話が爽快だった分、アーニャ、ヤスミンカと読み進めて行くのはつらかった。
 Wikipediaにあった講評「人間デッサンを一瞬に通り過ぎながら、人物が行間からくっきり立ち上がってくる」ってのは正しくその通りで、筆者含むどの人も生き生きと眼前に立ち現れてくるようだった。私の場合はかなり漫画的な絵面に変換されてしまったけど(笑)、その描写力のせいで余計にしんどいんだな。もちろん明るいとこはしっかり明るい。ほんとリッツァとその兄の話は明るくてよかったよ……ヤスミンカ、いつ死ぬか分からなくて物も買えないような精神状態で、生きるってのはなあ。
 今年のまとめ記事に載せよう。