Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

藤原伊織『雪が降る』   ★★★★

雪が降る (講談社文庫)
雪が降る (講談社文庫)
藤原 伊織
 母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。苦い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の六篇。(Amazon

 面白かったです! しかし何度か絶望しました!笑 藤原さん容赦なさすぎるぜ。『ダックスフントのワープ』はそれ以上だけどな。ストイックで他人を詮索しない男性主人公が多いようだ。「あなたは事情を聞かないんですね」って必ず言われている気がする(笑)
 特にきつかったのは「台風」ですね。この手の話には弱くてね。青年が好ましく描かれていただけに、ズガーンと凹むものがあった。
『ダナエ』の三篇を読んだときは「短編にしちゃうのもったいないなあ」と思ったけど、本書は短編として物足りなさもなく楽しむことができた。