Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

道尾秀介『ラットマン』  ★★★

ラットマン
ラットマン
道尾 秀介
 結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。(Amazon

 この作家の本は割と読んでいて、それなりに好きではあるし本書も面白かった。でもね、割と読んでいるからこそそろそろ飽きがくる。こういう見せ方は何度もやられると、種明かしでうんざりしてしまうんだ。私はトリックや仕掛けを見破ってやろうと意気込むタイプの読者じゃないけれど、それでもうんざりしちゃうってのはやっぱり叙述トリックは連発するべきじゃないってことだろうな。せめて五冊に一冊くらいにしてほしいや。
 話は面白かったんだよ。家族のドロドロや、色んな勘違いの重なり合い。初めての道尾ならもっと楽しめたはず。また『ソロモンの犬』みたいなやつが読みたいや。『カラスの親指』は未読だから予約してみようかな。