Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

恩田陸『蛇行する川のほとり』全三巻  ★★★

蛇行する川のほとり〈1〉
蛇行する川のほとり〈1〉
恩田 陸
 目を閉じれば、今もあの風景が目に浮かぶ。ゆるやかに蛇行する川のほとりに、いつもあのぶらんこは揺れていた。私たちはいつもあそこにいた……。あの夏、あの川のほとりで、少女達に何が起きたのか? 書き下ろし3部作第1弾。(Amazon

 大した雰囲気小説だな! 全力で褒める! しかし三冊分冊にする必要はないと思う! かわいいけど。
 一部ずつ視点が変わるのは恩田さんの得意な書き方だね。前の人とは違う見方を提示することで、何が本当の真実なのか分からなくして、読者を不安に陥れる。『黒と茶の幻想』とか。本書でもうまく機能してると思う。まあ、私が一番注目したのは先輩二人の百合っぷりですけど。大好物です。しかし久しぶりに読んだためか台詞が女々しすぎていて違和感。こんなお嬢様口調だったっけ?
 よく友達と、恩田さんの風呂敷広げる手腕をべた褒めし、うまくたためない本の多さを嘆いています。ミステリっぽいのにホラーで締めたりするのがよくない、というか雰囲気だけでここまで読ませられる作家なんて滅多にいないよ。オチが残念ならいっそ落とさなくていい、だから雰囲気小説作家になればいいと思う。もうなってる?