Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

三浦しをん『仏果を得ず』  ★★★★

仏果を得ず
仏果を得ず
三浦 しをん
 新年初読み! しかも超タイムリー! 本書は元旦を迎えて物語が閉じるのです。嬉しいなあ。『あやつられ文楽観賞』を読んでから望みたかったけど、届きませんでした。残念。文楽を「ぶんがく」と読んでしまうような私が……三浦しをんに乗せられ涙ながらに読みきりました。文楽の神様ごめんなさい。
「おまはん、六月から兎一郎と組みぃ」若い健が入門したのは伝統芸能・文楽の世界。変わり者の三味線弾き兎一郎と組み、健は義大夫の修業に打ち込むことになった。そこに待っていたものとは――文楽に賭ける若手大夫の熱い青春を、直木賞作家が愛とユーモアを込めて語る、最新長編小説! 孤絶の才能・三浦しをんがものした本格文楽小説、ここに誕生!(ボイルドエッグス)
 何かにひたむきに打ち込む人の姿が好きで好きで好きで、葛藤や苦悩や達成感なんてものも好きで、別に泣くところでもないのにラストにかけてはうるうるしっぱなしでした。駄目なんだよー。
 登場人物も個性豊かで素敵ですね。私は某マスクドライダーを彷彿としながら読んだんですが……それは私の頭が占められすぎているからなのか……でもキーワードがとても似通っていて……! 亀ちゃんて。亀ちゃんて。もちろん亀治さんが一番ツボだったんですけれど。
 互いに切磋琢磨しあう関係の、大夫と三味線弾きはいいですね。萌えますね(きっぱり)。三浦しをんが注目するってのもよくわかる。邪な視線を抜きにしても熱い。どんなジャンルであれ、何かの道に進んで努力できるだけの才能があり実際に努力している人は輝いているけれど、コンビってのが。一対一っていうのは。ちょっと。ねえ。熱いね。
 ノリとしては『格闘する~』『風が強く~』みたいな。『月魚』や『私が語りはじめた彼は』とは異なってかなりくだけた文面ですね。色んな文章書ける人憧れる。何を書いてもこの人! っていうのもすごいけど、私は割に飽きっぽいので(笑)
 文楽ってまともに見たことないかも。能と狂言と歌舞伎はあるけど。……全部別物よね? 『あやつられ文楽観賞』読んだらいてもたってもいられなくなりそう。去年の今ごろ、『風が強く吹いている』を読み終えたその日にランニングを始め、二日三日とセールにも行かず箱根駅伝を観戦していた私です。
 ああ、私も一番好きなのは○○! と言い切れる男性とどうにかなりたいよー(笑)いいよねえいいよねえ。一番は自分じゃないの。下心のあるトルコ人と喋ったことを思い出してしまった。「無人島に三つもって行くとして、何がいい?」って。これも条件をきっちりしないと答えられないけど、とりあえず「食べ物と紙と鉛筆」と。そいつは男だろう普通! と言ってたけど、もちろん人は欲しいけど、物だったら何か書くものが欲しいなあと思います。