Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

道尾秀介『骸の爪』  ★★★☆

骸の爪
道尾 秀介
「相談事というのは、こうだろう。――きみはホラー小説の材料を仕入れに、ある仏所へ取材に行った。そして工房の作業風景を見学し、仏像の写真を撮っているうちに、この千手観音像に恐ろしい呪いをかけられてしまった」
「呪い……」
「そう、そしてその呪いによって、あろうことか、きみの胸には――」
 サッと片手を上げ、真備は私の胸元に指を突きつけた。
「そのように不気味な胸毛が生じてしまったというわけだ!」

 ホラー作家の道尾は、取材のために訪れた瑞祥房で、口を開けて笑う千手観音と頭から血を流す仏像を見た。話を聞いた真備は、早速瑞祥房へ向かう――。20年の時を超え彷徨う死者の怨念に真備が挑む、シリーズ第2弾。(Amazon