Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

打海文三『裸者と裸者(下)』  ★★★★

裸者と裸者〈下〉邪悪な許しがたい異端の
裸者と裸者〈下〉邪悪な許しがたい異端の
打海 文三
「二級日本人と犯罪者同然の外国人が住む、水も電気もろくすっぽない、汚臭ただよう巨大なスラムだ」姉妹は言った。
「そういう場所は、もう一度、徹底的に破壊してもかまわないって、全勢力が心のどこかで思ってる。イリイチも白川も森も、多分きみたちも。じつを言えば、ぼく自身がそう思ってる。差別意識からまぬがれてるやつなんて一人もいない」

「世界はとっくに発狂してる」姉妹は言った。
「うん、発狂してる」イズールが言った。
「生きのびようとすれば、この狂った世界に適応するしかない」
「そうだね」
「邪悪な許しがたい異端の」
「なに?」
「邪悪な許しがたい異端の」姉妹はくり返した。「それがあたしたちの適応のかたちだ」

 主人公が双子に変わった。このシリーズは三部作(上下巻)だということですが、つまり全六巻ってことかな。うう、結構な重さで。
 両親の離婚後、月田姉妹は烏山のママの実家に引越し、十一年と数ヶ月、屈託なく暮らした。父親の不在を思ってふさぎ込むようなことは一度もなかった。そして応化九年の残酷な夏をむかえる。東から侵攻してきた武装勢力に、おじいちゃんとおばあちゃんとママを殺されたのだ。十四歳の姉妹は、偶然出会った脱走兵の佐々木海人の案内で、命からがら常陸市へ逃げ出した。 (Amazon
 私は自分が差別しない方だと思ってたけど、この本を読んでわからなくなった。日本に移民がたくさん来て、日本人と混ざって、今の日本人の特徴が更に薄れてしまうことは嫌なのだ。優生学ではないけど、日本の遺伝子を守ってもらいたいとは考えてる。もちろん、日本人は昔とだいぶ様変わりしているはずだけど……移民を受け入れないってことは差別なんだろうか。日本は日本のままであってほしいと思ってしまう。英語が公用語になってたら嫌だな! 日本語が日本語として変わっていくのはともかく、日本語がなくなってしまうのは嫌だな……と古文もろくに理解できない私が言ってみる。