Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

打海文三『裸者と裸者(上)』  ★★★☆

裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争
裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争
「せかいは、ひさんなしゃしんなんかみなくたって、せんそうのしんじつをしってる」
「すでに?」
「とっくのむかしに」

 SF? エンタメ? カテゴリがわからないけど。
 面白い。どの軍がどちら側について、現在の戦況はどうなっているのか、ってのを頭の中で組み立てるのが大変だけど(笑)面倒になって理解しないまま進んじゃったりする。面白いから。続きが知りたいから。
 海人が勉強していくうちに、台詞に漢字が混ざってくる。一番最初に漢字になったのは、「千人は殺した」という台詞。彼が最初に覚えたのは、数字や基本的な名詞や殺すっていう漢字かもしれないね。
 戦争がどんなものか、実際は誰もがわかってる。それなのに戦争する。海人の言葉が胸に突き刺さった。涙が出た。戦争そのものが描かれている。こんな言い方も何だけど、私が萌えられるのは、せいぜい軍隊を描くところまでだ。戦争があるから利益を得てる人もいるけど、被害をこうむっている人の方が、断然多いのにね。世界の富のほとんどが人口の1%に握られている、ってのと同じだね。