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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

法月綸太郎『怪盗グリフィン絶対絶命』  ★★☆

怪盗グリフィン、絶体絶命
怪盗グリフィン、絶体絶命
法月 綸太郎
「切り札というのは、最後まで取っておくものだ」

 結構骨太なストーリーで、カタカナの名前ばかり出てくるのもあり、頭がこんがらがってしまった。
 ニューヨークの怪盗グリフィンに、メトロポリタン美術館(通称メット)が所蔵するゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞いこんだ。いわれのない盗みはしないというグリフィンに、依頼者はメットにあるのは贋作だと告げる。「あるべきものを、あるべき場所に」が信条のグリフィンがとった大胆不適な行動とは。(第一部)
 政府の対外スパイ組織CIA(アメリカ中央情報局)作戦部長の依頼を受けたグリフィンは、極秘オペレーション「フェニックス作戦」を行うべく、カリブ海のボコノン島へ向かう。その指令とは、ボコノン共和国のパストラミ将軍が保管している人形を奪取せよというものだったが……(第二部)
 南北アメリカが舞台なだけあって、話の展開もやってることも派手。映像が頭に浮かぶようだ。ラストのどたばた具合はまだあるの、もっとあるの、わーおって感じ(笑)互いに出し抜こうとしているからはらはらさせられます。主人公・グリフィンに感情移入しやすくなってるのできっと皆はらはらするはず。
 国や政治が絡んでいるから小さい子にはきついかな。高学年から。珍しく明るくポップな挿絵で、後味も爽快だから健康的。まあ私はこのレーベルのトラウマを残す話が好きだし、日本人の書く外人にうさんくささを感じてしまうので評価が低めなんですけどね(笑)
 あとがきの『エルマーのぼうけん』のくだりを読んで法月に親しみが湧いた。あれは文句なしの名作だよなあ。