Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(中)』  ★★★☆

冷たい校舎の時は止まる (中)
冷たい校舎の時は止まる (中)
辻村 深月

 自分は単に、他人に対する責任を放棄したいだけなのだ。人を木津つけてしまうことが怖い。ただそれだけだ。相手の声を否定せず、他人の言いつけを素直に聞いてさえいれば、充は誰のことを傷つける心配もない。だから断らない。それはとても楽な方法で、とても臆病な生き方だ。


 この巻は悔しいけど鷹野が格好よすぎだよね(笑)本物とか以前に惚れますよ、あの体育祭は。ないわーこんな人! ま、学園ものの醍醐味の一つが格好いい男の子観賞なので、私は満足ですけど。閉じ込められた四人(私にとって充は範囲外だから三人かな)+生徒会長の裕二……ないわー(笑)
 不可解な現象によって突然校舎に閉じ込められてしまった8人を、ジワジワと侵食し始める恐怖と不安。張り詰めた緊張感の中、グループの一人が忽然と消えた……。未だに思い出すことができない級友の名前。少しずつ明かされていく、それぞれの心に潜む闇。5時53分で止まっていたはずの時計は、次に消される人物と深まる謎に向かって再び時を刻み始めた。(裏表紙)
「クラスの一つ一つは小さいながらにそれぞれの世界を形成している」これはまったくもって真実。他のクラスに干渉することは難しい。中学時代を思い出した。それぞれに中心的人物がいて、担任がいて、雰囲気があって。うちのクラスはやる気がない空気だったけど、隣のクラスは行事に燃えてたから、うぜーとか言ってたなあ男子(笑)懐かしい……。
 全体的に回想が多い。それぞれの持つ、心にひっかかる過去。誰にだって悩みはあるのよね。私はなれるもんだったら清水になりたいけどね(笑)
 上巻も中巻もラストがホラー的に終わっているから、本を閉じると薄ら寒い。この寒さを解消するには真相に辿り着くしかなくて、ヒキってやつがよくできているなあと思う。

 

「鷹野も榊さんも、端で見ててもわかるくらいにあんたのこと責めてない?」

「俺、マジで梨香にこれ聞いたことあるもん。あいつきちんと大学行くぜ」


 ふおおお!