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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

サイモン・シン『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』  ★★★★★

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
フェルマーの最終定理』に続き、世界的ベストセラーとなったサイモン・シンの話題作『The Code Book』の邦訳。 暗号は古代から重要な情報を安全に伝達する手段であったが、絶えず解読の危険性をはらんでいた。本書は、暗号とその解読にまつわる歴史上のドラマをひも解きながら、暗号の重要性と進化の歴史について語っている。
 英国女王エリザベス1世暗殺に関する暗号文書が破られ、処刑されたメアリー・スチュワートの事件をはじめ、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『仮面の男』(原作はデュマの『鉄仮面』)にも出てくるフランスの鉄仮面に関する文書、埋蔵金のありかが示されているという謎の「ビール暗号」、第1次世界大戦第2次世界大戦の様相を変えた暗号解読者たちのテクニックなど、読者の知的好奇心をくすぐるトピックが数多く登場する。暗号が我々の歴史にいかに大きな影響を与え続けてきたのかがよくわかる。
 転置式暗号、換字式暗号といった単純な暗号化の方法から、複雑なヴィジュネル暗号、エニグマ暗号、単純だが決して破られることのなかったナヴァホ暗号のほか、ヒエログリフ線文字Bなど、数多くの難解な古代文字や表記が、暗号解読者たちの血のにじむ解析努力と併せて詳述されている。
 本書では、読者がこれらの暗号を実際に作ったり、解読したりしながら読み進めていくことができるよう工夫されている。パズルや謎解きが好きな読者はもちろん、歴史の裏側をのぞいてみたい読者や考古学ファンにとっても興味深い1冊である。(土井英司)

 暗号の歴史をものすごく面白く綴った本。いやあ心から面白かったと言いたい!
 初期の暗号から未来の暗号まで、そして暗号ではないが未解読文字の解読にかける人々の情熱。暗号解読というものは数学や語学や勘やらを総動員しなければならないわけだが、丁寧に信じられないくらい分かりやすく例を出して説明してくれる。しかもそれらの歴史的エピソードを語るのがうまい。暗号そのものの魅力と暗号をとりまく人々の魅力。頭がいい人は何でもできるんだなあと思わずにはいられない。
 結構厚めでハードルが高そうな本だけど、とっても読みやすいので気になった人は是非読んでみてください。線文字Bヒエログリフの解読話なんてシャンポリオンと一緒に気絶しちゃいそうだよ! 世界史でヴェントリスとシャンポリオンのどっちがどっちを解読したのかごっちゃになってたけど、もう二度と間違えまい! まさかヒエログリフ表音文字だったなんて……知らなかったし、それに気づいた人もすごい。