Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』  ★★★

モロッコ水晶の謎
モロッコ水晶の謎
有栖川 有栖
 久しぶりに有栖川読んだ~! 巻末を見て衝撃を受けたのは、私が『緋色の研究』以外の火村シリーズを読破していたことです。……嘘でしょ。そんな火村先生大好きだった覚えはないのに。江神さんの方はデビュー作である『月光ゲーム』しか読んでないというのに。『双頭の悪魔』は気になる。火村シリーズは短篇集が多いからでしょうか? 国名シリーズ読みやすいものね。
 助教授の身代金:志摩恵里香のもとに、夫の征夫を預かったという電話がかかってきた。三千万を用意しろ、という。警察に連絡後、要求通りに動くが、征夫は廃墟で遺体となって発見された。
 ABCキラー:安遠町で浅倉一輝が、別院町で番藤ロミが殺害された。同一の拳銃が使われており、警察宛に犯人と思われる人物から挑発の手紙が届いた。「いったい何人イケるだろう」と。クリスティの『ABC事件』を彷彿とさせるが……。
 推理合戦:アリスと同業の朝井小夜子が、『赤い雨』という連載を始めた。火村は小夜子に最近S***に行っただろう、と推理する。小夜子は車の修理はいつできる、と質問する。わけもわからず一人おいてけぼりのアリス。
 モロッコ水晶の謎:アリスは取材先の家のパーティに招待された。そこで男が毒殺される。グラスに入ったジュースに毒が入っていたのだが、誰にも毒を入れるチャンスはなかった。
 有栖川有栖は文章のきれいなミステリ作家、と評されることが多いので私も今回はじっくりと表現を味わってみました。ううむ、確かに他の本格ミステリ作家達よりは文学的というか。比喩とかね。