Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

海原零『銀盤カレイドスコープ<vol.1>』  ★★★

銀盤カレイドスコープ〈vol.1〉ショート・プログラム:Road to dream
銀盤カレイドスコープ〈vol.1〉ショート・プログラム:Road to dream
<とにかくどんなに、絶対、を願おうが祈ろうが、そんなことは起こり得ない。もしジャンプが決まったとしても、全確率中の、成功、のエリアに目が転がっただけさ。勿論、失敗もそれに同じ>
「……」
<神様に逆らうのは君らしいけど、確率に逆らっても意味がない。なんせ向こうには意志がないんだから>

 表紙の絵を見てやや引き、なめてかかって読んだら面白くて悔しい思いをしました(笑)お風呂でゆだりながら、最後を見届けることに。
 私の名前は桜野タズサ。16歳のフィギュアスケーター。期待の実力派のはずなんだけど、どうも試合で結果が出せず、おまけにとっても嫌われ者。多分、このイヤミなほどの美貌のせいね。そんなこんなでトリノ五輪の代表切符が遠ざかっていた、ある日……よりによって『幽霊』に取り憑かれた。ねえ、ちょっと! こんなベタな展開ってアリなの!?(裏表紙)
 ほんと、ベタな展開なんだけどね。ラノベというより少女小説(少女が主人公だからって少女小説ではないのかもしれないけど、私の中では男性向け展開がラノベで女性向け展開が少女小説、ってイメージがある)? やたらと改行多いし、ページの下はすかすか。幽霊に取り憑かれたばっかりのドタバタコメディ的雰囲気も好きなではない。それでも、面白かったんだよね。
 解説にあったようにフィギュアスケートを表現するのがうまい。ジャンプの種類を説明してくれるのかと思いきや本編始まっちゃって、全くわからないままで読んだのに楽しめたのは生き生きとした文章のおかげか。元気と勢いはある。そしてタイムリー。
 たずさの表情を押し込める原因になったのは、心理学的に言えば禁止令ってやつよね……。
 六巻まで出てると知って、続きを読むべきか迷っている。おいおい長いな! 私がりぼんを読んでいた頃「だまっていればの花愛ちゃん」を連載していた長谷川潤が漫画化した、ってのもびっくり。懐かしー。そっち読みたい。