Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

冲方丁『マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust 排気』  ★★★★

マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
冲方
「バロット……」
 ウフコックが呼んだ。バロットは、ぎゅっとスーツの肩を抱いた。
 ――愛されたいと思った人は沢山いた。でも愛したいと思った人はあなただけ。

「……我々は殺さない。我々は殺されない。我々は殺させない」

 おもしれー!!
 カジノでの対決って少し本筋から外れてないか? とは思ったものの、それが一番面白かったです! アクションより向いてるよ! 反吐をはきながらの執筆作業、一切無駄ではなかった! ギャンブル話書いてほしい! ルーレットスピナーのベル・ウィング、ブラックジャックのディーラーであるマーロウ、カジノの用心棒アシュレイ。マジ面白い。ウフコックとバロットが協力して、一つ一つのゲームで勝利を収めていくその過程が……!
 ギャンブルなんて何一つやったことないけれど、興味は湧きました。と同時に、ギャンブルで勝つ難しさがよくわかり、手を出すまいと思いました(笑)自分の運の悪さはよく知っているので、絶対やらないぞ。すごく複雑な計算をして確率はじき出して、賭けるんだね。ブラックジャックやりたいなあ。
 科学技術発祥の地“楽園”を訪れたバロットが知ったのは、シェルの犯罪を裏付ける記憶データが、カジノに保管された4つの100万ドルチップ内に存在するという事実だった。チップを合法的に入手すべくポーカー、ルーレットを制してゆくバロット。ウフコック奪還を渇望するボイルドという虚無が迫るなか、最後の勝負ブラックジャックに臨んだ彼女は、ついに最強のディーラーと対峙する――喪失と安息、そして超克の完結篇。(裏表紙)
 まあ正直ラストはイマイチなんですけど、作者が実際反吐をはきながらも頑張ったシーンは文句なしに面白かった。肝心の愛についてはうーむ、私は幸せに生きてきたので感情移入はできず。作者にはもっともっと面白いものが書けるのではないでしょうか。また評判になる本があれば読んでみます。