Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

小野不由美『緑の我が家―Home、Green Home』  ★★

緑の我が家―Home、Green Home
緑の我が家―Home、Green Home
小野 不由美

「やっぱさ……いじめられたら、仕返ししたいと思うよな」
 ぼくが言うと、和泉はキョトンとした。
「何、それ」
「そう思わないか?」
「……仕返ししたら、いいことあるの?」


 本書も1990年のを加筆・訂正して再版したもの。十七~と同じ。後書きでふれられてるんだけど、この二つは小野不由美にとって後の方向付けがなされた作品、なんだそう。これ以前には何書いてたんだ? Amazonで調べてみると、デビュー作が1988年ティーンズハートから出ていた。うわー小野不由美の恋愛もの、読みたいなあ。あんな文章書く人が……。まあ、これも十分少女小説っぽいけど。
 浩志は、父親の再婚をきっかけに家を出た。壁に囲まれた路地を入り、「緑の扉」を開いた浩志を迎えたのは、高校生の一人暮らしには充分な広さの部屋と、不可解な出来事。無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙etc.そして、「出ていったほうがいいよ」と呟く和泉少年の言葉が意味するものは……。嫌がらせ? それとも、死への誘い!? ―怖い―。しかし浩志の家は、もはやここしかない!(Amazon
 本格ホラー、しかも屍鬼を書いた彼女なのでかなり気合入れて読んだんだが、あまり怖くなかったな。気持ち悪さを覚えるべきな死体描写を読んでも、久しぶりだと懐かしがってしまったし……ミステリってよく死体腐ったりするじゃない! ミステリっぽいところもあって、それなりに楽しめたんだけどね。
 人間は嫌なことがあると思い出さない様に押さえつけてしまうみたいだけど、私も何か記憶の奥底に押し込んだものがあるのかしら……と思いつつ。いじめいじめられってのは、子供大人に関わらず社会にはつきもので、人間ってどうしようもないなあと。動物はもっと、弱肉強食ってかさ。和泉のように人を恨まずに生きられる人なんて、実際いないんじゃないのかなあ。

 

 隣人が殺人鬼だったら泣いちゃうな(笑)