Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

大崎善生『孤独か、それに等しいもの』  ★★

孤独か、それに等しいもの
孤独か、それに等しいもの
大崎 善生
「だから、僕が言いたいのは、失うってことは、それは本当に喪失してしまうことだから、きっと失ってしまったあとでは何を失ったかすらわからないんじゃないかな。それが失うということだから」

「もし失ったものがあったとしても、その開いた空間に運びこ
めるものがきっとある」(八月の傾斜)

 孤独を感じたことがない、という孤独をどれくらいの人が理解してくれるのだろうか。(孤独か、それに等しいもの)

 どこで知ったんだろうこの作家……『パイロットフィッシュ』『アジアンタムブルー』『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』そして本書はタイトル知ってた。普通に有名だから? WEB本の雑誌で拝見した写真は想像と違いました。市川拓司や本多孝好系だと……全く違うね。
 八月の傾斜:八月になるとどん底の九月に向けて、祐子は傾き始める。ピアス穴を開けると何かを失ってしまうよ、と大久保君は言っていたが、私は何を失ってゆくのだろう。
 だらだらとこの坂道を下っていこう:三十台半ば、恋愛の飽和点に達してしまった僕と由里子に、恩師である大学の先生の訃報が舞い込んだ。
 孤独か、それに等しいもの:私・藍がヒロシとの結婚をひかえ、思い出したのは双子の妹・茜のこと。いつも一緒だったのに、茜は私と違う目印を刻んだ、アキレス腱に傷を負った日から変わり始め……。
 シンパシー:二十数年前のこと。先輩に誘われ、読書サークルの合宿に参加した僕は、高速のサービスエリアで犬を拾った。
 ソウルケージ:一年近く、「魂の籠に捕らえられている」状態が続いている私。母が死んだ小学六年の頃から、ソウルケージに傷だらけの熊を寝かしつけてきたのだが。
 ……あらすじが、書けません。さぼってたからか……! まあ、全体的に薄暗い雰囲気。私はあまり好みではない。先の三つは割と幸せな感じだからいいものの、ラスト二つは微妙。私がこんなに複雑な構造をしていないからかしら。同じ女性だからといって、全てが理解できるわけではない。
 八月の傾斜は、某小説と似てると思った。恋人の喪失、ってよくあるテーマだけど思い浮かんだのは瀬尾まいこ幸福な食卓(双方のネタバレにより反転)。早津さんは素敵ですね。孤独か~のヒロシも冗談ばっかり言ってるかと思えば、しっかり男前。藍の最後の言葉、最高だね。だらだらと~、私も三十半ばに差しかかったら再読したい。旦那さんがいればの話ですが。「二人」で下るのならいいじゃない。
 シンパシー、礼子は……。ソウルゲージ、ダイヤモンドダストについてはハッピーに見れちゃうより、あれがいいと思う。母親があんな死に方したらそりゃ、どこかが歪んでしまうよね。
 痛々しさ具合が苦手かもしれない。良い評判きくから、もう何冊かは読んでみるつもりですが。