2006-08-13から1日間の記事一覧
夜の朝顔 豊島 ミホ あの頃の記憶には「しこり」が多い。楽しいことだってたくさんあったはずなのに、思い返すと、砂利を噛んだような気分になります。特に不運な環境にあったわけでもないのに、なぜでしょう。(あとがき) どこでオススメされてたのか忘れ…
妖都 津原 泰水 空空しいほど無邪気な口調でいい、彼は右手を自身の左胸にあてがった。 ゆっくりと愛撫するように、それを腹部へとすべらせる。 指先から目が離せない。繁貞は動揺を感じた。 少年の骨ばった指は躯のわりにどれも長く、男性的というほどでは…
温室デイズ 瀬尾 まいこ みちるは多数の生徒に好かれている。本人もそれをわかっている。自分ならできる。そういう思いがあったのかもしれない。だけど、見落としている。今、この学校で力を持っているのは、数は少なくても悪いやつらだ。 「うっとうしいと…
頼子のために 法月 綸太郎 「頼子が死んだ」。17歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶ──という手記を残していた。手記を読んだ名探偵法月綸太郎が、事件の真相解明…