アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』 ★★★☆
初めてのタブッキ。漫然と読んでしまったのできちんと噛み砕けていないが、興味深かった。メタ視点での読みを要求されるので、うたた寝しながら読んではいけません。
- 作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1993/10/01
- メディア: 新書
- 購入: 9人 クリック: 44回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
失踪した友人を探してインド各地を旅する主人公の前に現れる幻想と瞑想に充ちた世界。ホテルとは名ばかりのスラム街の宿。すえた汗の匂いで息のつまりそうな夜の病院。不妊の女たちにあがめられた巨根の老人。夜中のバス停留所で出会う、うつくしい目の少年。インドの深層をなす事物や人物にふれる内面の旅行記とも言うべき、このミステリー仕立ての小説は読者をインドの夜の帳の中に誘い込む。イタリア文学の鬼才が描く十二の夜の物語。(Amazon)
イタリア旅行にいくのでイタリア人作家を読もうと手に取りました。そしたらインド旅行したときの記憶が蘇った。何の手配もしないでインドの空港に降り立ち、飛行機で一緒になった日本人カップルと三人でタクシーに乗り込んで場末のホテルに突撃したことを。
いわゆる白人が南アジアを旅するとこういう景色が見えるのかしらね。東アジア人の目で見るのとは(あるいは現地の人が東アジア人に接する態度を通して経験するのとは)、少し違うと思う。小説の構造も面白かったけど、それを構成するインドでのエピソードそのものも印象的でした。ちゃんと覚醒しているときに読み直したい。