村上春樹『回転木馬のデッド・ヒート』 ★★★
春樹訳カポーティを読んだ流れで手をつけた。感想としては、わたしは春樹の思想や人となりはあまり好きではなくて(主に彼が男性的であるという点において)、けれど文章は好きだし技巧的にとても上手いと思っている、という既に分かっていたことでした。
現代の奇妙な空間―都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。(Amazon)
カポーティもそうだけれど、「女性」に対する視線にものすごく他社性を感じる。これは男性全般に思うことでもあるが、彼らは「女性」を同じ人間だと捉えていないんだろうか、というやつ。カポーティの場合は育児遺棄した若い母親に対する複雑な感情が結晶化してそうなってるのかなと勝手に思うけど。
特にゲッと思ったのは「雨やどり」という、金でセックスを売った女性についてのスケッチで、「我々は多かれ少なかれみんな金を払って女性を買っているのだ」という太字の文章には吐き気すら覚えた。それ、ものすごい非対称ですけど分かってます?
でも文章は上手いと思うんだよ。だからこれからもたくさん翻訳をしてください。