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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

トム・ロブ・スミス『チャイルド44』  ★★★★☆

ミステリ・エンタメ

 面白かったとは言えない読書でしたがリーダビリティは多分にありました。下巻は一度読み始めると止まらないので時間のあるときに読んだ方がよいです。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

 
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

 

スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。(Amazon

 ここから多少ネタバレを含むので、何も予備知識要らなければ戻っていただいて。

 スターリン体制下のソ連、ということでまさに1984年の世界で、日本もこのまま右翼化が進めばこうなりかねないな、既に犯罪を外国人に押し付けたがる風潮がものすごくあるしな、とゾッとしながら読みました。このものすごい明日は我が身感。わたしは今の政権の進む先が先進国としてまっとうだとは到底思えないので。「個人的なことは政治的なこと」、アメリカのフェミニズム運動のスローガンですけど、あらゆるものは政治から逃れられないんだと感じます。例外はない。

 本筋の大量殺人とは別で、理不尽に人が死にまくるため読んでいて非常につらいのですが、事前に作者を調べ、レオを主人公とした三部作があることを知っていたからガンガン読み進めることができました。知らなかったらなかなか厳しかった。特に下巻には主人公周りにポジティブないいシーンが出てくるので、これで結末がアレだったら結構立ち直れないな……と。三部作だよ! というのを糧に行けばいいと思う。

 プロットそのものは相当えげつないけどね。よくぞここまで胸糞悪い落とし方をしたよね。上巻読んでから少し間があいたため下巻で気づくのかなり遅れたけどね。ストーリーとしてきれいにまとまっている分フィクション感が強まり、一歩引いて眺められるというのはある。面白かったです。

 一時期トム・ハーディ出演作を漁っていたにも関わらず、2015年に彼主演で映画が作られていたことすら知りませんでした。しかもネステロフがゲイリー・オールドマン。英国俳優的にめっちゃ豪華ではないか。しかしソ連舞台なのに全編英語でやったのか。それは言語の雰囲気的にどうなのか。まあロシアでは発禁だそうですので彼の地の協力は得られないわけだけれど。ちょっと見てみたい。