マリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』 ★★★★★
- 作者: マリオバルガス=リョサ,Mario Vargas Llosa,杉山晃
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/12
- メディア: ハードカバー
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二度目です。初読時のレビューは下記。
マリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』 ★★★★★ - Memoria de los libros preciosos
いやー面白かった。余すところなく面白かった。Twitter上ではしょっちゅう「これ最高のやおい小説ですよ!」って呟いてるんだけど、「都会と犬ども やおい」でググると私の発言が上に出てくるから、あのへんの界隈の人にはあまり読まれていないんじゃないかな……何てもったいない。何てもったいないんだ。『これがワタシたちの小説ベストセレクション』は何故この本を取り上げてくれなかったんだ。もったいなさすぎる。いいですか、
- 舞台は全寮制の士官学校
- 15〜17歳の少年達の群像劇
- メインCPは詩人×奴隷(両方ともあだ名)
- 「君はぼくのたったひとりの友だちだよ」
- そこに投入される狂犬ジャガー(あだ名)
- 引き裂かれる友情(適当)
- 人種の入り乱れたペルーの雰囲気が何となく分かる
- 舞台となった士官学校に本書1500冊を焚書されたほどである
- 技術的にもよくできている
- なおかつしっかりエンタメしてる
- バルガス=リョサの中ではおそらく一番読みやすい
- デビュー作に全てが詰まってるっていうし
- だからノーベル賞作家の書く最高のやおいだって言ってんだろ!!!
小説に読み慣れている人は前情報一切無しでとにかく読むんだ。三人称、一人称が入り乱れていて最初は若干読みにくいかもしれないが、そのうち引きずられるから大丈夫です、頑張れ。そして語ろう。これを26歳で書いたバルガス=リョサすごすぎる。
ただしホモソーシャル全開なのでダメな人はお気をつけ下さい!
以下ネタバレというか疑問。
結局、ジャガーは奴隷を殺したってことでいいのかね? あの告白がどこまで真実なのか疑わしい。さすがのジャガーも虚偽の殺人告白はしないかなあ。
あと解説で言われているジャガー=アルベルトは、「上流階級に属するセンシティブな少年である」という意味での「同一人物」ってことよね? 感想ググると字義通りに同一人物って言ってる人もいるんだけど、解説の最後で詩人・奴隷・ジャガー・ガンボアを並列させているところからも、別人であると断定できるはず。私は初読時に先に解説を読んでしまい、何というネタバレをしてくれたんだ己は、と怒りを抱きながら読んで、あれ? 別人? と思いました。
三度目はもうちょっと真面目に読みます。笑