Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

江國香織『左岸』  ★★☆

左岸 上 (集英社文庫)

左岸 上 (集英社文庫)

左岸〈下〉 (集英社文庫)

左岸〈下〉 (集英社文庫)

仲の良い両親と、ふたつ上の兄・惣一郎、幼なじみの少年・九に囲まれ、福岡で育った茉莉。しかし惣一郎の死をきっかけに、幸せな子供時代は終りを告げる。兄の面影を胸に、茉莉は17歳で駆け落ちし、東京へ向う。男たちとの出会いと別れ、九との再会を経てめぐりあったのは、このうえない幸福と、想像もつかないかなしみだった―。辻仁成と組んで放つ、愛を求めて流れゆく男女の物語。(Amazon

  辻仁成とのコラボレーション。そのせいか、いつもの江國香織とは違った理不尽さやダイナミックさもあって面白かったことは面白かったけれど、私はいつもの江國香織(東京で暮らすハイソサエティの男女が織りなす不倫模様)の方が好きかな。笑 標準語喋ってないのすごく違和感がある!

 若いころの茉莉の振り回されっぷり、はっきり言うと性的暴行を九と馬場に受けたあたりは読んでてしんどかったけど、娘が生まれたあたりからそうでもなくなったかな……。茉莉が、自分の母親には「パパと一緒に家にいるべきだ」と思っていながら、自分自身は娘と二人暮らしのアパートに男を連れ込んだり、娘の意向に沿わない引っ越しを断行するあたり、ずいぶんと自分勝手だなと思ったりしました。それが人間っぽさとはいえ。ミチルさんはとてもよかったね。あのバイセクシャルの女性、ミチルさんで合ってたっけ?笑

 辻さんが九側を書いてるの、手元にあれば読むけど、探してまで読みたい気持ちは起こらないな……。思えば辻さんの小説を一冊も読んだことがないかもしれない。これを機に一冊くらい読むべきなのかもしれない。