江國香織『号泣する準備はできていた』 ★★★
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/28
- メディア: 文庫
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満ち足りていたはずの恋に少しずつ影が差す様を描いた表題作「号泣する準備はできていた」、妻のある男性との濃密な関係がずれはじめる一夜をつづった「そこなう」など、当たり前にそばにあるものが静かに崩壊していく過程を、江國は見慣れた風景の中に表現してみせる。また、若かりしころの自分と知人の娘の姿を重ねた「前進、もしくは前進のように思われるもの」や、17歳のときの不器用なデートの思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」では、遠い記憶をたどることによって、年を重ねることの切なさを漂わせる。(Amazon)
これで直木賞だったんだっけ? そこまでかなあ〜もっと他にいいのあるよなあと思わずにはいられないが。読むのは二度目だけどまったく覚えていなかった。
最近話題になっていた「上質な暮らし」BL、江國香織の小説の登場人物たちがナチュラルに体現しているものですが、本書に収録されている「熱帯夜」がまさに百合カップルの「上質な暮らし」小説だったので、タイムリーさに笑ってしまった。片方は在宅勤務、もう片方は会社勤めの江國小説によくあるパターンです。お金の心配皆無なやつ。でもよかったと思う。もっと女性同士の話を書いてくれればいいのになあ。
実際、私たちは行き止まりにいるのだ。どんなに愛し合っていても、これ以上前に進むことはできない。たとえば結婚も離婚もなく、たとえば妊娠も堕胎もない。(P52)
同性婚の認められた国でレズビアンカップルが結婚し、子供をもうけていることを考えると、日本という国の狭量さがよくわかりますね!! 異性カップルが当たり前に歩む恋愛のステップを、同性カップルだって歩めるべきなんだ。
文章はいつも通り美しいです。ただ私は互いの了承なしの不倫を許容できない価値観の持ち主なので中身については特に言うことがない。